小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2019年09月17日付)
『アンドブリッジは手作りハイブリッドストア?』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 先週の金曜、朝一番で西大宮ファッションモールに開業するワールドのオフプライスストア「アンドブリッジ」一号店のプレス内覧会に行ってきた。
 西大宮ファッションモールはしまむらが自社業態の集積に他社業態も加えて営業している日本には数少ない“ストリップモール”で、米国ではTJXやロス・ストアーズなどOPSの主力ロケーションだ。「アンドブリッジ」はワールドのアウトレットストア「ネクストドア」が営業していた跡に出店したもので、OPSと相性の良い立地と思われる。
 ワールドとゴードン・ブラザーズ・ジャパンが合弁で立ち上げたアンドブリッジ社が手がけるOPS「アンドブリッジ」一号店の売場面積は990平米。スケルトンにモルタルを吹きつけただけの天井高は4mほどもあり、足場用と思われる鉄パイプフレームを組みあげた3m近い陳列什器の上にも空間が広がる。
 天井梁の真下に通したスライドレールに吊るされたLEDスポットは2900kタイプで、天井も床もモルタル系という最悪の環境下で辛うじて演色性を確保している。そんな倉庫的店舗環境の中に所々、クラシックだったりモダンだったり様々な意匠の演出什器が点在しているのは皆、閉店したワールドの店舗の残滓で、ミスマッチというより洒落たスパイスとなっている。そんなドケチ施工で店舗投資は極限まで抑えられている(実額は公開不可)。
 商材はゴードン・ブラザーズ・ジャパンが日本国内で調達してワールドのMDが選別した約一万点で、ウィメンズ/メンズ/キッズの衣料品が65%、服飾雑貨や生活雑貨、一部コスメなどが35%。衣料品や服飾雑貨では「TK」「グローブ」などワールドのアウトレット品が目立つが、比率は30%程度だと言う。
 開業に間に合わせるべくワールド商品が増えてしまったが、今後はバイイング比率を高めてワールド色を薄めOPSを確立したいとしており、アウトレットとOPSのハイブリッド状態は遠からず解消されるはずだ。「遠からず」として「早々に」としなかったのは、ゴードン・ブラザーズ・ジャパンの調達が国内放出品に限られているからで、グローバルなネットワークを持つゴードン・ブラザーズ社本来の調達力に期待したい。
 「手作り」としたのは内装もそうだが、米国の大手OPSが確立した什器レイアウトや再編集運用の定石が無視された“オリジナル”のストアだったからだ。古着店に見られる色環順陳列主体でワールドVMDのスキルが結集されているとは言え、サイズ切りや価格切りのアイテム訴求も正面のブランド切り訴求もなく、良くも悪くも「手作り」のオリジナルな業態に仕上がっている。それが吉と出るか凶と出るか今後の修正を見守りたい。
        

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