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『LVMHはコロナ禍でもノブレス・オブリージュ』(2021年01月27日付)
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

 ラグジュアリー帝国LVMHの20年12月本決算が発表されたが、さすがのLVMHもコロナ禍で17%の減収(446億5100万ユーロ)、34%の減益(47億200万ユーロ)となり、パヒューム&コスメティクス部門は23%の減収、88%の減益、ウォッチ&ジュエリー部門も23%の減収、59%の減益、免税店やセフォラのセレクティブリテイリング部門は31%の減収で赤字転落したが、ルイ・ヴィトンを中核としたファッション&レザーグッズ部門は5%の減収、2%の減益に留め、全社事業利益の86.55%を稼ぎ出した。そんな中でも在庫を前期の95%に抑え、売上の減少で在庫回転は1.32回から1.22回に減速したが、買掛金の支払いは1日たりとも伸ばさず、叩き売りもせず在庫も廃棄せず、ティファニーの買収準備も含めてか借り入れを119億9200万ユーロ(約1兆4620億円)も増やして乗り切っている。

 我が国大手アパレルの中にはコロナ禍で68日も買い掛け金の支払いを伸ばし、アウトレットで自社ブランドを6〜8割引で叩き売った猛者もいるが、それではブランドビジネスの”サステナビリティ“が崩れてしまう。LVMHの借入金は247億ユーロ(約3兆円)にも膨れ上がり、純資産対比の借入金比率も前期の33.1%から63.6%に跳ね上がったが、面子を通し切った。苦しい時のやせ我慢”こそブランドビジネスのノブレス・オブリージュであり、我が国アパレルの軽薄さとは対照的だ。

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