小島健輔の最新論文

WWDジャパン2010年10月11日号掲載
全国有力100SC/百貨店のブランド販売動向10年夏商戦(5〜7月)
『ファストからリアルへ流れが変わった』
(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

リーマン前水準を回復した夏商戦

 今夏商戦は天候に恵まれて衣料販売は一段と回復し、依然水面下ながらリーマンショック以前の08年夏商戦の前年比水準を上回った。全国百貨店婦人服は96.5と昨夏水準を10ポイント、レディスブランド/ストア平均も96.2と同8.7ポイントも上回った。全国百貨店紳士服も96.4と同12.6ポイント、メンズブランド/ストア平均も97.1と同10.9ポイントも上回った。レディスブランド/ストアでは好調ブランドが50と春商戦から5割も増え、前年割れブランドは春商戦の73%から65%に減少した。メンズブランド/ストアでも好調ブランドが春商戦の10から20と倍増し、前年割れブランドは春商戦の77%から59%に急減した。

回復が拡がったレディス

 レディスは未だ全ゾーンが水面下に留まったが、グローバルSPAは春比7.6Pアップの99.8、プレタは同3.2Pアップの98.9と水面に迫った。シングルライナーは5.7Pアップの97.2、SC展開ストアは3.1Pアップの97.8、ノンエイジキャラクターは2.9Pアップの97.5、ミッシーも3.2Pアップの97.7、ミセスも3.7Pアップの97.6と回復し、セレクトショップもほぼ横ばいの97.3と健闘したが、トゥイーンズは3.0Pダウンの86.7、セクシーガールは0.6P回復するも85.7と低迷。ラグジュアリーグッズはほぼ横ばいの95.6、ラグジュアリープレタは明暗割れて1.7Pダウンの94.3に留まった。
 4シーズンぶりに好調タイプも現れ、SC展開ストアのベーシックカジュアル(平均113.5、好調ブラントはアースミュージック&エコロジー・プレミアムストア、コーエン)とナチュラルライフスタイルストア(平均117.1、同ニコアンド、スタディオ・クリップ)、キャリアのインターナショナルクリエーターズ(平均111.4、同クロエ、バレンシアガ)が二桁増に乗せた。一桁増の堅調タイプはヤングのナチュラルカジュアル(好調ブランドはカスタネ)、ワーキングガールのトレンドミックス編集ストア(同ティアンエクート、ドゥドゥ、アルファベッツ・アルファベット)、SC展開ストアのナチュラルカジュアルキャラクター(同ピューレカーム・オンザカウチ)やナチュラルカジュアル系カップルキャラクター(同チャオパニック)、ミッシーのフェミニンエレガンス系パーツ(同23区)やコンテンポラリーキャラクター(同カリテ)、ミセスのカジュアルキャラクター(同シンプルライフ)など17タイプを数えた。
 不調タイプでも突出するブランドもあり、ヤングではアースミュージック&エコロジー、ワンアフターアナザー・ナイスクラップ、フラボア、メルシーボークー、セクシーガールではヘイビーシュープ、ワーキングガールではスナイデル、ドゥ・アルシーブ、バービー、レッセパッセ、パラダイス・ピクニックなど、セレクトショップではビーバー、ナノ・ユニバースなど、SC展開ストアではグリーンパークス・トピック、グランターブル、アズール・バイ・マウジー、グリーンレーベル・リラクシングなど、トランスキャリアではICB、ラ・エフなど、キャリアではシビラ、ユマ・コシノ、プレタではフォクシー、mミッソーニ、ラグジュアリープレタではシャネル、レナランゲが好調だった。

ファストからリアルへ流れは一変した

 ようやくファストファッションの勢いも陰り、ODM/OEMやQRの後出しじゃんけんに走ったブランドが値崩れで売上を落とす一方、素材からの自社開発や手作りのクリエイションを守ったブランドは健闘し、一部は好調な回復を見せた。ショップ売上という形では出て来ない東京セレクトブランドの活況やデザイナーブランドの復調、秋口のモンクレール人気などを見ても、市場が上っ面な売れ筋商品に飽きて完成度と着回せるクリエイションを求めているのは明らかだ。リーマンショックから二年を経て、ファストファッションからリアルファッションヘ、ようやく流れは転じたようだ。

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