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『今こそ「サスティナビリティ」を決意せよ』(2020年04月14日付)
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

コロナパニックが予想を超えて深刻化する中、これまで曲がりなりにも継続すると思い込んでいたことが次々と崩れていく現実に誰もが少なからず青ざめているのではないか。
マスクからトイレットペーパーまで当たり前にドラッグストアやスーパーの棚に並んでいた日用品が稀有なものになり、引きこもり生活を支える日々の食料にも不安が過ぎるなんて、もはや文明の崩壊さえ予感させる。
人の動きが止まって日々の売上が消えても家賃や仕入れ代金など支払い期限が次々と迫り、背に腹は変えられず長年の取引先にも無理を強い、その連鎖の果てに行き詰まる会社も少なくない。蓄えがある会社は不幸の連鎖を断ち切れるが、余裕のない会社は周囲に不幸を伝染させ、果ては社員の休業補償さえ叶わず路頭に迷わせることになる。
こんな時、不幸の連鎖を食い止めることができるのは長年の蓄えがある資本集約型の大企業だけだが、誰もが公共心を持って自腹を切るわけではない。組織の論理が先行して免罪符的な施しで誤魔化し、弱者を切り捨てる大企業も少なくない。イオンモールの最低保証家賃一律期限撤廃を称賛したのは、不幸の連鎖を体を張って食い止める決意に感銘したからだ。
「サスティナビリティ」がコーポレートブランディングのトレンドとなって久しいが、それが口先だけの美辞麗句だったのか本心からの企業哲学だったのか、この窮状下で露呈したのではないか。
「サスティナビリティ」とは環境保護以前に、様々な障害を乗り越えて取引関係や雇用関係、商品やサービスを継続する決意と力量を謳うものであるはずだ。美辞麗句で終わることのないよう、今こそ改めて“継続”の決意を問いたい。

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