小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年06月28日付)
『ZARAは二重人格?』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 ZARAの六本木ショールーミングストアではサンプル陳列商品のバーコードをスマホでスキャンしてサイズを指定すると5分ほどで試着室に用意されスマホに案内が送られるが、店頭のキレイなワンサイズ陳列の一方でバックヤードではサイズのピッキングと戻しにてんやわんやで、5月17日にロンドンのストラットフォードシティSCに拡大リニューアルしたEC一体型旗艦店ではC&Cと試着対応に二基のロボットピッキングシステムを導入している。
 ピッキングは自動化しても試着済みの商品をピッキングヤードに戻すのは人手に頼るしかなく、六本木のショールーミングストアでは逐一点検しスチームをかけて皺を伸ばしてから戻している。サンプル陳列のキレイなショールームサロンの裏では、いったいどんだけ人手をかけて運営しているのかと心配になるが、それはAmazon Goとて同様で実験的な店舗にはつきものだ。そんな実証運営を積み上げ、多店化するプロトタイプが固まって行くのだろう。
 ZARAは物流もハンガーかプラスティックコンテナで商品のコンディションに気を配っているが、試着済みの商品にまでそんな手間をかけていたとは感服せざるを得ない。皺だらけの商品を平気で陳列するH&Mやストックヤードにパッキンを山積みするユニクロやジーユーとは価値観の違う会社なのだろう。
 そう言えば、ZARAは欧州生産の一部アウターについてはプレス仕上げを工場に任せず、自社工場のプレスラインで仕上げている。決算書の「仕掛かり在庫」などから売価ベースで15%程度と推察される工賃払い委託加工商品だと思われるが(SPAのほとんどは製品買い上げ)、ハイブランドのコレクション商品かと見紛うあの一連がそうなのだろう。
 
 INDITEXについては「・・・・だろう」という推察に留まって確定的表現が出来ない事が多いのが残念だ。社員にも取引先にも厳格な「機密保持誓約書」を要求し、プレスも一方的に発信するばかりで問い合わせに返信もしない高飛車な姿勢に徹している。商品を大切に扱い個人尊重のガバナンスやC&C対応も評価される企業だけに、過度な秘密主義と高飛車な対応は二重人格的アンバランスが訝られる。

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