小島健輔の最新論文

ファッション販売2013年9月号掲載
『ライフスタイル業態が揃ったマークイズみなとみらい』
(株)小島ファッションマーケティング代表取締役 小島健輔

 三菱地所が6月21日、みなとみらい34街区に開業した「マークイズみなとみらい」。みなとみらい21地区最大の店舗面積4万3000平米に全189店(うち物販136店、飲食38店他)を揃え初年度250億円の売上を目論んでいる。
 「マークイズみなとみらい」の目玉はライフスタイル提案のセレクトショップやカジュアルストア、アウトドアブランドが揃った1Fで、中でもランドマーク口に大きく陣取ったRHCロンハーマンが最大の目玉。中央美術館口のプラネットブルーワールドと合わせてLAの潮風が漂って来る。加えてビームスのビーミングライフストアやアバハウスのマイセルフなど、最近のファミリーカジュアル業態も勢揃いしている。
 それに較べると2Fはユニクロが大面積を占めて生活雑貨やカジュアルSPAが散漫に並び、3Fもトイザらスとノジマが大面積を占めてキッズやファミリーカジュアル、生活雑貨に分散し、業種業態の構成が散漫なのは残念。4Fも東京ガスのショールームがほぼ半分を占め、フードコートとレストラン街はスケールが限られる。これでは高感度ライフスタイルを謳う1Fからの客流が細るのではないか。
 みなとみらい駅から続くB4Fはコンビニや100円ショップ、雑貨やコスメ、カフェやサービスが混在する雑居ビル的構成で、B2Fはスポーツオーソリティにほぼ丸貸し、B1Fは中途半端な規模の食品フロアとなると、主導線であるみなとみらい駅からの動員が危ぶまれる。目玉テナントが1Fに集中している事もあって路面からの導入に期待しているように見えるが、みなとみらい地区の主導線は2Fコンコースで路面の通行者は限られる。クイーンズスクエアとのブリッジも無く、路面に降りての導入となる。
 みなとみらい地区は足元人口の希薄さの割に商業集積が過大で、既存施設が低販売効率に苦しむ中、10年3月に開業したコレットマーレも苦戦しており、「マークイズみなとみらい」も低販売効率が危ぶまれる。1Fの魅力だけで全館を潤わす客動員が可能なのか課題が残る。

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