小島健輔の最新論文

ファッション販売2002年10月号
『トウィーンズブランド満載の109町田』
(株)小島ファッションマーケティング コーディネーター 小島千佳

 7月20日にオープンした109町田のB1フロア「ジュニアスクエア」には、トウィーンズをターゲットにした元気いっぱいのテナントが集まった。お洒落に目覚めた小学校高学年から中学生のギャル予備軍を対象にした点では渋谷109−2と共通するが、ナルミヤインターナショナルの“エンジェル・ブルー”“デイジー・ラヴァーズ”“メゾピアノ”“ポムポネット”が出店していないのが新鮮だ。
 人気絶頂とは言え、ナルミヤ系ブランドは高価に過ぎてママ同伴が避けられないし、子供企画のジュニアパターンの域を出てないから、トウィーンズ達にとっては表向きの『良い子服』でしかない。お小遣いを握りしめて飛んで行きたい服は、109を闊歩するお姉さん達のトレンディでセクシーキュート、あるいはセクシーヘルシーな商品をジュニアパターンにしてお小遣いで買える価格にしたもののはずだ。そんな期待へのひとつの回答が、今回の109町田「ジュニアスクエア」なのかも。
 まず目立つのがジョー・インターナショナルの新業態“シブヤガール”。“ジャッシー”の妹ブランドで、ポップでヘルシーセクシーなチアガール風ルックが『おまたせ』って感じ。ちょっとロックなリメイク風がカッコイイ!興和の“ペンティーズ”もトウィーンズ達にはドキドキもののはず。ウサギさんのキャラクターが目印のナガイの“ラブラビ”(この春スタート)もキュート。この三店がお姉さん寄りのお洒落を提案していてコドモコドモすぎず、ちょっとオマセな‘ギャル予備軍’たるトウィーンズのハートを掴みそう。
 べアータちゃん(眠そうなクマのキャラ)等、ポップで可愛いキャラを満載したキャンの“べティーズ・ブルー&K.L.C.”、ケンとメリー(パンダのカップル)がラブリーなスーパーラヴァーズの“ラヴァーズ・ハウス”、ヴァーチャルスクールのアイコン・キャラクターが可愛い関西3枚目系の“3年2組”等のジュニア系のショップ群は、お姉さんぽいトレンド性やセクシーキュートさとは無縁だがキャラクター性がハッキリ出ていて、あんまり背伸びしたくないジュニア達にはジャスト。  この二群に比べると、リオ横山のジュニア向け新業態“シーアールティー・キューティー”はパッと見の印象が弱く、色々揃えた平場の様な感じでナショナルチェーン臭さが露骨。「ここで買ったんだ」と友達にイバれそうもないから、ファン作りはきびしいかも!
 イトキンの“iiMK”やデリカの“a.g.plus”等のナチュラル色の強いトレンド系ストリートカジュアル、大人しいOLやお母さんも安心して入れる?“ハニーズ”等は、はっきり浮いている。ギンギンのお洒落を楽しみたいお小遣い持参のトウィーンズ達には場違いに写るだろう。
 とは言っても、靴の“GOOCHE”やアクセサリーの“アルコイリス”、キャラクターグッズの“ミルク ベリー”等の安くて今時っぽい雑貨ショップも揃い、クレープ屋さんも隅っこにあるから、女の子達の放課後をウキウキさせる要素はなんとか揃っている。
 敢えて欲を言えば、‘ちょっとクールなカッコイイ系’に憧れているトウィーンズ達が欲しがる様な、“マウジー”“デュラス”タイプのジュニア版、裏原テイストのボーイズ系“アースミュージック&エコロジー”や“X-girl”タイプのジュニア版が欲しかった。でも、まだ何処にも無いのだから仕方ないかも。
 そういえば、2〜3Fのお姉さんフロアーにもカッコイイ系の“マウジー”や“デュラス”、ギャルギャルしい“jiマックス”や“カパルア”等の人気ブランドが入っていない。“セシルマクビー”“リズリサ”“ワンウェイ”が揃う2Fは賑やかで楽しそうだが、色々比べて買いたいギャル達にはチョット物足りない。「渋谷に行きたーい!」と叫ぶ娘も出てきそう。
 やっぱりマルキューと言えば渋谷だし、渋谷だからこそオシャレに真剣!なギャルが集まる。スタッフもお客さんもどこかノンビリしているせいか、109町田は渋谷の様な力の入ったお洒落バトルの熱気は弱そう。渋谷に負けずに頑張れ、マチダギャル!

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