小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年03月07日付)
『近々なくなる職業』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 AIの急速な進化などで近々になくなる職業が喧伝されているが、ギョーカイではどうなのか。労働集約型で低報酬ゆえ人手不足の職種が一番危ないのではないか。
 店舗販売で一番に消えるのは、セルフレジ〜レジレスという進化で「キャッシャー」と「サッカー」だが、店出荷や店受け取りといったオムニチャネルなサービス業務が加わって物流センター化すれば店頭要員は容易に減らせない。その壁を超えるのが省在庫〜無在庫のショールームストアだが、店内作業は減っても接客業務はなくならない。接客業務の中でもエントリー業務(アプローチと意向掌握)や在庫検索はAIやECフロントに置き換えられるとしても、衣料品や靴のフィッティングだけはAIやロボットに置き換えるのは難しいし、出来ても人より割安に済むとは思えない。フィッティングスキルがあれば職を失う事はないし、接客スキルが在れば異分野の販売に移れるから、職業が無くなる心配はないが、報酬の水準が向上するとは期待し難い。
 ECなどバックヤードの物流ではオートピッキングや自動振り分けのマテハンシステムがもう少し進化すればピッカーは大幅に削減出来るが、ゼロにするにはスルー出荷に割り切るしかないから、報酬は低位に留まるとしても仕事が無くなりはしない。ささげ業務だけは撮影も採寸も自動化の目処が立っておらず、撮影要員やささげモデル、コピーライターが失職するのは相当先になる。SFに出てくるようなAI実装アンドロイドが実用化されれば、ささげモデルは代替されるだろうが(理想的な規格サイズでパターン化されたポーズが取れる)、人よりコストが安くなるのは何時の事だろうか。
 宅配便の営業ドライバーはこのままでは逼迫が加速するが、テリトリーカルテルを結んで宅配各社の重複を解消し(地域で一本化)、英国のように指定場所受取(店舗やTBPP)を過半にすれば人手不足は解消される。地域間物流は連結トレーナー化や自動運転システムなどで効率化はされようが、ドライバーを無くする訳にはいかない。宅配便の地域間物流は毎日の夜間定時運行だからモーダルシフトが可能だが、それでも逼迫が解消されるぐらいで失業まではほど遠い。
 アパレルや小売チェーンの本部では、ショールームストア化が進めば配分・補給も在庫コントロールも不要になるから、DB(ディストリビューター)は不要になるが、商品系が不要になることはない。ECやショールーム販売を支えるフロント業務はますます忙しくなって人海戦術化するから、Webコーダーやプログラマーは一段と逼迫するが、アニメやITの業界同様、報酬の高騰は望み薄かもしれない。失業の不安がないだけハッピーと思う。
 このような見識はあくまで“現状”であり、AIやロボットの技術革新がリープフロッグすれば一気に情勢は変わる。1年後ぐらいに見直してみたい。

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