小島健輔の最新論文

マネー現代
『大人気「ユニクロのマスク」を超える「凄いマスク」があった…!』
(2020年07月07日付)
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

ユニクロのエアリズムマスクは「優れもの」だが…

ユニクロが売り出したエアリズムのマスクはBFE99%(3.0ミクロン濾過)と一般の使い捨て不織布マスクと遜色ない防染機能を確保しながら、紫外線90%カット、サラサラな肌触りで洗って使えるという優れものだ。S、M、Lの3サイズがあって、子供から男女まで、ほとんどの人をカバーする。これで3枚組990円(税別)ならお買い得だから、購入希望者が殺到するのも不思議はない。

お一人様1セットまでの販売制限があるが、毎週50万セットを供給するとしているから、いずれ行き渡るだろう。

アパレル業界に氾濫するファッションマスク(布マスク)のほとんどがオシャレ先行で、肝心の防染機能が怪しかった中、BFE規格(3.0ミクロン濾過)99%というテスト結果を明記したエアリズムマスクの功績は大きい。実際、巷に溢れるファッションマスクの多くは抗菌効果を謳ってもウイルス濾過試験結果を明示しておらず、アベノマスク同様、コロナウイルス防染には気休めでしかない。

気休めファッションマスクとは異次元の防染機能を備えたエアリズムマスクだが、日常生活における防染はともかく、通勤電車やイベント会場など三密状態での防染には心許ない。三密対策にはBFE規格より高機能なPFE規格(0.1ミクロン濾過)のマスクが必要だ。

PFE規格マスクと言えば医療従事者用のN95などが挙げられるが、医療機関でも不足する状況で価格も200円以上と高騰も収まっていない(平時でもBFE規格マスクの5倍以上高価だった)。布マスクにPFE級の防染機能など期待すべくもないと思われていたが、必要は発明の母で開発が進み、近々に発売される。そうなれば、防染機能を軽視したファッションマスクは市場から消えていくだろう。

「機能性選別」が始まった

需要の急激な拡大と供給不足で一時はドラッグストアの棚から消えた不織布マスクは、それまで一枚あたり8円程度だったのがピークでは50円を超えたが、国内の増産に中国の過剰生産も加わって5月末頃から豊富に出回り、急激に値下がりして流通在庫が積み上がっている

供給不足がピークだった4月初め頃には手に入りさえすれば品質を問うどころではなかったが、供給が回復するに連れ価格が下がり品質も選別できるようになり、消費者の意識も変わっていった。

マスクの防塵機能(同時に防染機能でもある)は米国材料試験協会規格によれば、濾過できる粒子の大きさによって以下の三つの規格があり、それぞれの濾過試験で何パーセントを濾過できたかが製品のパッケージなどに表記される。

BFE規格(3ミクロンのバクテリア・細菌飛沫濾過)
VFE規格(1.7ミクロンのウイルス飛沫濾過)
PFE規格(0.1ミクロンのウイルス濾過)

日常生活ではBFE規格99%クラスで自分の飛沫も他人の飛沫も防げるが、至近距離の濃厚接触や三密状態でエアロゾル化したウイルスを防ぐにはPFE規格95%以上が必要とされる。

ゆえに一般向けの不織布マスクはBFE規格99%、医療従事者向けはPFE規格95%が主流となっている。

マスク不足がピークだった頃は規格の怪しげな中国製不織布マスク(規格検査結果が表示されていない)が氾濫したが、供給が回復するに連れ、規格検査結果が表記されているマスクしか売れなくなり、日本製でBFE規格99%以上の検査結果が表記されているマスクに需要が集中して行った。

今や未表記の中国製マスクは10円でも売れなくなる一方、日本製の規格表示マスクは50円でも注文が殺到して抽選になるほど機能性選別が強まっている。

見るべきポイントは「3層構造の機能性」

マスクは表材/中材/裏材の3層構造が基本で、表材は撥水や吸水速乾、UVカットや抗菌などの機能性とファッション性を担い、顔に当たる裏材は抗菌や防臭、かぶれ防止や冷却などの機能性と肌触りを担う。

ウイルス防染を担うのがフイルター機能の中材で、極細の繊維を積層した不織布が使われる。市販されているマスクはそれぞれに工夫されているが、本来の防染機能を担う中材のフィルター素材こそ要で、フイルター素材がPFE規格99%なら、表材が布地のファッションマスクでも高い防染機能が得られる(顔面との密着性も問われるが)。

ファッションマスクが変わる!

ファッション性や快適性と防染性を両立する都合の良いマスクはなかなか出てこなかったが、アパレル向けに裏地や付属を供給する三景(伊藤忠子会社)がそんなマスク用資材の販売を開始し、他社も追従を急いでいる。

機能とファッション性を備えた表材や裏材、ノーズキーパーやゴム紐はもちろん、肝心の中材はナノ繊維を使ったPFE99%のフィルターを供給するから、これまで防染機能が怪しかったファッションマスクを根底から一新することになりそうだ。

蒸し暑い季節が来て、見た目も使い心地も爽やかなファッションマスクが期待される中、デザインだけでなく表材や裏材の機能、肝心のフイルター中材の濾過性能表記を確かめて購入すべきだろう。

 

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