小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年07月27日付)
『「OKIDOKI」「DELTA」地元ブティックに思う』に学ぶ
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

4f14fc4c0e8cead063a2b6c7ebbf2399

 暴力的な熱暑の週末、わざわざ混雑するリゾートや繁華街に出かける気にもなれず、ちょこちょこ新しいお店が出来ているホームタウンの代々木上原から代々木八幡まで、暑気祓いに抜けたアロハスタイルで巡ってみた。
 前から目をつけていたのが4月に開店したというセレクト感覚のユーズドブティック「OKIDOKI」。改札を出て真下に降りる「北口1」を出て向かいのファミリーマート横を入ってすぐの左手、木枠とガラスの向こうに中が丸見えの小さなお店だ。その丸見えのハンガーラックのキレイな色環順陳列に惹かれて入ってみた。
 中に入って商品を仔細に見れば、ちょっと大人な90’Sヴィンテージのブランド品(米国ものが多かった)が並ぶ中、2001SS「コムデギャルソン」のデコなジレが見つかったりする。ヴィンテージの判る商品にはタグに年式を記載してあるのも親切だ。その大半が四桁価格(数千円)というのも富ヶ谷の本店同様、良心的な値付けだと思う。
 キャリア向けヴィンテージ婦人服が八割方を占めるが、なぜかストリート感の強いヤング向けメンズが反対側のラックに並んでいる。富ヶ谷の店はオーセンティックなメンズが中心でレディスもジーニングが目立つが、代々木上原の店はコンテンポラリーでキレイめだから、タグを見るまでユーズドだとは判らない。外見からは新品を扱う今風のブティックに見えてしまう。営業時間が13時〜21時と遅いから要注意。
 代々木上原駅前でもうひとつ取り上げたいのが東口の北側に08年開店した婦人服の「DELTA」。こちらは上原銀座商店街の坂に抜ける東口の手前で左手に見えるモダンなガラス張りのミニ・ブティックで、若向け(トランスキャリアぐらい)のコンテンポラリーなデザイナーものを独自のフォーカスでセレクトしている。エフォートレスモダンなデザインものが打ち出されるウインドウは駅構内からも目を惹く。こちらも営業時間は12時〜21時と遅い。
 地蔵通り商店街を代々木八幡の近くまで歩いて行くと、ブティックではないが東コレにも参加している「YUGE」のディレクター弓削匠が6月9日に開店したばかりレコードショップ「Adult Oriented Records」が異彩を放つ。そのさらに数軒、代々木八幡寄りには15年9月に開店したストリート感覚のユーズドミックス・セレクト「dojoe」がある。メンズ中心だがボーイッシュなレディスもワンラックほど置き、どちらも手頃な四桁価格が大半だ。
 紹介したのは代々木上原〜八幡の地元ブティックだが、原宿や渋谷でも目を惹くのはユーズド・ミックスやユーズドの店ばかり。最近はメジャーSPAの粗っぽさや安っぽさ、法外価格ブランドの嘘臭さが鼻につき、コストやロスを価格に丸載せた明け透けな経済感覚が受け入れ難くなってしまった。
 ギョーカイが村感覚を出られないなら仲間価格でやればよいが、嘘くさいメジャーな仕掛けで法外価格を押し付けてはフアンは広がらない。メジャーにやるなら効率の裏付けが必要だし、効率を追求しないならマイナーを売るべきだ。絵空事の“ファッションシステム”でコストとロスを押し付ける悪癖はもう止めるべきではないか。

3dd3ab89a588e9b2c90054bb719dadc4           

 

c0c48b2b5f57e35703bc7d9dee5efd77
           5ead2cd536c801427e9cfa869d4ceac4

論文バックナンバーリスト