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ブログ(アパログ2018年01月19日付)
『三井物産がビギを買収!』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

 昨日の午後、三井物産が公表したビギホールディングス(ビギHD)全株式の取得は衝撃でもあり、また感慨深いものがあった。
 三井物産株式会社とMSD企業投資株式会社がビギHDと同社の株式それぞれ33.4%、66.6%を取得する株式譲渡契約を締結したとの発表だったが、MSD社は三井物産/三井住友銀行/日本政策投資銀行の三社が共同で設立したものだから三井物産主導での買収と受け取れる。
 ビギは1970年に大楠祐二氏が菊池武夫氏、稲葉賀恵氏らと創業。74年の「TD6」、80年の「東京コレクション」でも中核的役割を果たしてDCブランドブームに火を付け、80年代に急成長してグループ会社が広がり、84年に菊池武夫氏がワールドに移籍した事件も注目された。DCマーケットが1兆2793億円でピークを打った91年にビギグループの売上も1113億円のピークを打って減収に転じ、直近の17年2月期は524億円まで減少していた。
 DCブームが去って久しく、傘下のブランドも成熟して多くが大人向けになり、2011年にビギHDに再編されて今日に至るが、ODMの風潮に流される事もなく、自社デザインチームによる着実なものづくりで大人市場の一角を占めている。そんなビギグループのブランド価値とものづくり基盤を前向きに評価しての買収だったのではないか。
 三井物産としてはグローバルマーケットを見据えたブランドマーケティングでビギHDのブランド群を慎重に再構築し、ゆくゆくは日本国内のみならず海外市場にもチャンスを拡げようと構想しているに違いない。ライセンシングなど短期の投資回収に流れず長期のブランド価値向上を図る三井物産の手腕が期待されよう。
 ついでながら、ビギは私にとって思い出深い企業でもある。85年に出版した「ワールドVS.ビギ」は業界の注目を浴びたが、それ以前に大学卒業を控えて最初に面接に伺った企業でもあった。“企業”と言っても私が大楠さんと菊池さんに面接された71年当時は設立直後で数人で回していた頃で、鈴屋に入らなければビギの経営陣に並んでいたかも知れない。それから早くも半世紀近くが過ぎたかと思うと栄枯盛衰、光陰矢の如しの感慨があった。

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