小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年12月27日付)
『モンクレールを40%オフでゲット』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

7195ブログ画像

 

 6年以上も着続けたタトラスのダウンジャケットが今風の“抜けた”サイズ感にそぐわなくなったので、意を決して新しいブランドダウンを購入することにした。

 まずは各ブランドの公式サイトで最新のラインナップとデザイン、価格をチェック。次いで狙いをつけた品番のECでの値引き相場を調べ、現物を試着できるオフプライス販売店を探した。高額商品を買うのにウェブルーミングとお試しは欠かせない。

 百貨店のセールは年明けからだし、人気のブランドダウンはカスみたいな持ち越しの旧品番しか出て来ないから選択肢に入らない。アウトレットモールのハイブランドショップでは現行品はほとんど販売されないし、そもそも人気のダウンブランドはアウトレットモールに出店していない。セレクトショップのアウトレットにも、プロパーで完売してしまう人気のブランドダウンが回って来るはずもない。ましてや人気の現行デザインとなると、独自調達ルートを持っているオフプライスストアを探すしかない。

 ネットで調べて目当てをつけたのは御徒町辺りのディスカウントストアで、イヴの休日に行ってみると周辺は腰が引ける雰囲気だったが売場にはブランドダウンの現行品が結構揃っていた。タトラスを買うつもりだったがモンクレールのデザインが気に入り、その品番だけ40%オフという特価だったこともあって購入を決定。サイズも揃っていたので慎重に試着して大きめのサイズをゲットした。

 こんな購入体験をすると、もう法外価格でセールを渋る百貨店なんかに出かけることもなくなりそうだ。米国ではオフプライスストアが急成長して衣料・服飾流通の15%にも達しているが、過剰在庫が溢れて過半が売れ残る我が国でも今後、急速に台頭するのは確実で、アウトレットモールにオフプライスストアが並ぶ日も近いと思われる。

 少子高齢化の社会負担増で国民総労働力動員が進んで誰もが生活と生計に追われ、時間消費を強いる店舗購入からECやサブスクリプション、プロパー購入からセールはもちろんアウトレットやオフプライス、新品からリユースに消費が移動する現実を直視すれば、来19年は無在庫ショールームストアや無人精算店舗、オフプライスストアが本格離陸する革命元年となるに違いない。

論文バックナンバーリスト