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ブログ(アパログ2018年10月23日付)
『OLファッションは三年で一変した』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 10月のSPAC研究会は毎年、『MD展開計画総点検』と題して月度の売上指数やアイテム構成を検証して来期の予算組み立てに役立ててもらっているが、メンバー回答の「ワーキングガール」(いわゆるOLです)のアイテム構成平均値(金額ベース/以下同)を見て少なからずショックを受けた。スカート比率が急減していたのだ。

 15年にはボトムの過半を占めて婦人服全タイプで最も高かったスカート比率が、18年では4分の1強と婦人服各タイプの最下位に急落しているではないか。回答メンバーの入れ替わりがあったにせよ、これはかつてない急変だ。

 家計婦人衣料支出に占めるスカート比率は90年の13.8%(ボトムに占める比率は68.3%)からジリジリと低下して13年には4.4%まで落ち込み、以降は多少回復して18年上半期は6.2%(同24.9%)まで戻しているが、その変化は大きいとは言え決して急激なものではなかった。替わってシェアを伸ばしたパンツにしても、90年の6.4%が18年上半期に18.7%になるのに四半世紀を要している。それを思えば、「ワーキングガール」のボトムに占めるスカート比率がほんの3年でほぼ半分になるというのは“急変”と言わざるを得ない。

 その背景にあるのが少子高齢化を支える女性就業率の急激な上昇と“戦力化”で、17年には米国を抜き18年8月には70%の大台に達している。ほんの少し前まで“職場の華”としてヒラヒラしたミニスカートでキュートな魅力を振りまいていたOLたちもすっかりパンツで武装した“勤労戦士”と化し、スカート比率の急落を招いたという事のようだ。そう言えば、この間のキュートエレガンス系やキュートモード系、フェミニンモード系やセクシーエレガンス系のブランド(服もバッグもジュエリーもランジェリーも)の凋落は目を覆うばかりではないか。

 先んじて勤労戦力化したキャリア/パート主婦層はパンツへのシフトが一巡してスカート還りに転じており、スカート比率が急減したOLを逆転したというのが実情だ。

 MDを揺るがす状況の急変はそれだけではない。アパレルのMD展開を根底から覆す劇的な地殻変動が始まっているのだ。実は・・・・・・

お後は10月26日開催のSPACか11月15日開催の『マーチャンダイジング技術革新ゼミ』でデータを揃えて解説しよう。

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