小島健輔の最新論文

販売革新2014年5月号掲載
激動のSC50年史
『オムニチャネル型SC時代の幕開け』
(株)小島ファッションマーケティング 代表取締役  小島 健輔

SC業界の半世紀を振り返る

 07年11月の改正都市計画法施行の駆け込み開発一巡とリーマンショックで冷え込んだSC開発もアベクロミクス景気とともにようやく回復に転じたが、新設SC数も総開発面積も往時の勢いにはほど遠い。デフレこそ脱却しつつあるものの少子高齢化は止め難く、労働年齢人口の減少と老齢層の急増は現役世代の社会負担を重くして消費を減退させるから国内市場の萎縮は避けられない。加えて、Eコマースの拡大とスマホの普及によるオムニチャネル消費は消費と流通の常識を一変させ、店舗小売業と商業施設の既得利権を突き崩して行く。
 このような国内市場の先行きを見た最大手商業施設デベのイオンモールは投資の大勢を発展著しいアジア市場に転じ、セブン&アイ・ホールディングスはSC戦略に見切りを付けてオムニチャネル戦略に投資を転じた。他の大手専業デベは都心と郊外を両睨みするばかりで、アジア市場にもオムニチャネル戦略にも動けないでいるのが実情だ。
 全国SC数は3134(13年末)に達して小売総額に占めるSCシェアも21%に迫るとは言え、SC増加とともに91年をピークにSCの年間坪効率は年々低下して半分以下まで落ち込み、テナント企業の不動産費負担も限界に近付いている。加えて、経費率が店舗販売より二桁低いEコマースが売上を浸食していくのだから、SC業界の将来は暗雲に覆われつつある。そんなSC業界の将来を占い突破口を模索するには今一度、SC業界半世紀の歴史を振り返って時代環境変化のメカニズムを鳥瞰し、明日への戦略視点を定めるべきではなかろうか。
 SC業界の潮流を左右して来た最大の要因は行政の開発・営業に対する規制と緩和の振幅であり、その背景は中小小売業の保護から日米貿易摩擦に伴う市場開放圧力、そして地方都市の無計画な郊外開発がもたらした空洞化と財政悪化、と変遷して来た。加えて、00年3月に借地借家トラブルの抜本的解消を期した改正借地借家法が施行されて以降、定期借家契約が急速に普及してデベとテナントの関係は一変し、テナントチェーンの世代交代が一気に加速した。また、00年6月の大店立地法の施行(同時に大店法の廃止)を契機に営業時間の延刻が広がって店舗従業員の全国的不足が慢性化し、それがもたらす店舗運営と販売の質の低下が通信販売、さらにはEコマースの急拡大をもたらした事も忘れてはなるまい。
 このような行政規制のターニングポイントを軸に、SC業界の半世紀を振り返ってみたい。

百貨店法から大店法へのスーパー急成長時代(56〜74)

 戦前の37年10月に施行され戦後の47年12月にGHQによって廃止された第一次百貨店法が56年6月に第二次百貨店法として再施行されてから74年3月に大店法(大型店規制法)が施行されるまで、大規模小売店舗から中小零細小売店を保護する法律は百貨店法だけだったが、60年代の爆発的なスーパー急成長で中小零細小売店が圧迫されるにつれて社会問題化し(渥美俊一が62年に設立したチェーンストアの研究会組織「ペガサスクラブ」メンバー企業は69年には千社を超えた)、中小零細小売店保護を目的に大店法が制定されるに至った。
 百貨店法は売場面積1500平米以上(6大都市では3000平米以上)の小売店舗を規制していたが、大型量販店はフロア毎に別法人化した「疑似百貨店」で規制を免れて中小小売業者の批判を呼び、百貨店法の規制を量販店にも拡げた大店法の施行に至った。
 60年代には大手量販店核の箱形NSC開発が始まって68年にはイズミヤ百舌鳥SCやダイエー香里ショッパーズプラザなどコミュニティ級の箱形SCも開業し、69年には本邦初の百貨店核郊外RSCたる玉川高島屋SC、72年には近鉄百貨店核のならファミリーも開業し、73年4月には日本ショッピングセンター協会が設立され、翌74年にはSC数は388を数えたが(当時基準、現基準では338)、大店法施行によって大型SC開発にブレーキがかかった。

ダウンタウン開発から大店法規制強化への第一次ロードサイド時代(74〜79)

 大店法規制によって郊外SC開発にブレーキがかかる中、商業施設開発はダウンタウンに転じ、大店法以前の69年に開業した池袋パルコを皮切りに、73年には渋谷パルコ、75年には札幌パルコ、76年にはルミネ新宿(現ルミネ1)、青山ベルコモンズ、78年にはラフォーレ原宿、なんばシティ、渋谷109などが次々と開業した。
 大店法規制下でも規制面積ギリギリのホームセンターや紳士服店がロードサイドに急増して中小零細店を圧迫したため、79年5月に大店法の規制面積が500平米に引き下げられた。これにより郊外SC開発は一段と抑制された一方、紳士服やスポーツ用品から靴や玩具まで規制面積ギリギリのロードサイド店が雨後の筍のように急増し、各地のバイパス沿いにロードサイド銀座が出現して中心商店街は急速にシャッター街化していった。
大店法規制強化から規制緩和までの第二次ロードサイド時代(79〜87)
 大店法の規制対象面積が500平米に引き下げられても、大店法規制でSCの開発が進まない以上、出店機会はロードサイドにしかなく、かえって500平米、300平米の業種店の増殖が加速した。さらに82年2月の大型店出店抑制通達は量販店やSCの開発をほぼ凍結するに至り、出店機会を求めて様々な業種店がロードサイドに殺到した結果、地方都市の商業立地は中心商店街からバイパス沿いなどのロードサイド銀座に移行してしまった。
 大店法規制は地域の商調協によって温度差が大きく、SC開発が低調に留まる中も地域によっては量販店核箱形SC主体に徐々に開発が進み、75年には400未満だったSC数も85年には1054と大台に乗り、郊外比率も75年の21%から35%に高まった。そんな中、抑制通達前に例外的に開発された大型SCが81年のららぽーと船橋(現ららぽーとTOKYO-Bay)と82年のたまプラーザ東急SCであった。

規制緩和から大店立地法施行までの箱形SC時代(87〜00)

 87年6月、規制強化の一途だった大店法が一転して緩和に動き出した。大規模小売店舗審議会が「営業時間の延長」「事前説明会の短縮」「調整不能物件の大店審審議」を通達して開発推進に転じたのだ。以降、89年6月の「90年代の流通ビジョン」、90年5月のさらなる緩和通達、92年1月の改正大店法施行(規制面積引き上げ)、94年5月の改正大店法のさらなる緩和(千平米以下の出店自由化など)、と矢継ぎ早に緩和が加速し、堰を切ったように郊外SCが開発されて行った。
 一転しての規制緩和は日米貿易摩擦に伴う米国の市場開放圧力に拠るもので、日米構造協議で大店法の緩和が合意され、92年のトイざらス橿原店(上陸第二号店)の開店に際しては当時の現職ブッシュ(父)大統領が駆けつけた。そして95年にはGAPも上陸する。
 92年から00年まで毎年百を超えるSCが開発され、00年末の総SC数は2514と88年から倍増したが、大半は量販店核の箱形NSC/CSCで、多数の専門店を並べるモール型RSCの兆しは89年のマイカル本牧、90年の広島アルパーク、93年のサッポロファクトリー、95年のマイカル桑名などに限られた。

大店立地法から改正都市計画法施行までのモール型SC時代(00〜08)

 規制緩和の潮流が頂点に達したのが00年6月の大店立地法の施行であった。中小小売店保護に発した大型店規制は貿易摩擦による市場開放で緩和に転じ、そして大店立地法ではWTO違反という国際競争ルールが問われて店舗面積などの量的商業調整が廃止され、公害や交通渋滞など環境保護を軸とした開発規制に転じた。
 大店立地法の導入にあたっては環境規制への対応が危惧されて00年の駆け込み開発ラッシュを招き、翌01年はその反動で75年来という43にまでSC開設数が落ち込み、以降、今日に至るまで三桁に乗る事はなかった。その一方、店舗面積規制の箍が外れた結果、03〜08年開設SCの平均商業施設面積は2万平米を超えて年々大型化が加速し、08年には史上最大の2万7791平米に達した。大型化とともに郊外SC開発の主流は低層モール型に転じ、00年のイオンモール成田、04年のダイヤモンドシティのソレイユ/ルクル/キリオ、07年のららぽーと横浜などモール型の大型SCが次々と開発され、08年のイオンレイクタウン開業で巨大化の頂点を打った。
 この時代の後半はITベンチャーの台頭などでミニバブルを呈し、03年の六本木ヒルズ、06年の表参道ヒルズ、ラゾーナ川崎、07年の東京ミッドタウン、08年の阪急西宮ガーデンズなど、巨額を投資した都心再開発も目立った。

テナントとデベ双方の世代交代

 この時代は同時にテナントチェーンの劇的な世代交代期ともなった。00年3月の借地借家法改正で定期借家契約が導入された後、急激に普及して商業施設の新規テナント契約の大勢を占めるようになり(03年で過半に達し09年以降は9割を超える)、差し入れ敷金は基準家賃の10ヶ月程度に激減。70〜80年代には100ヶ月と言われた差し入れ保証金も定期借家契約導入が迫るとともに40ヶ月前後まで低下していたが、導入後ほぼ一年で敷金10ヶ月が業界に定着した。
 この結果、前世紀に巨額の保証金を差し入れて多店化した旧世代テナントチェーンと定期借家契約導入以降に多店化した新世代テナントチェーンで極端な財務格差が生じ、資金不足で商品開発に踏み込めずSPA化と多店化が遅れた旧世代チェーンに対し、潤沢な資金を商品開発に投じてSPA化し収益力を高めて多店化を加速した新世代チェーンとの世代交代が加速度的に進んだ。
 世代交代はテナント側のみならずデベにも波及した。普通借家契約が巨額の差し入れ保証金と引き換えに営業権を保証していたのに対し、定期借家契約では手軽な敷金で済む替わりに営業権の保証が契約期間内に限定され、商業デベはテナント入れ替えやリニューアルが容易になった。
 前世紀から営業していた商業施設は大半のテナントが普通借家契約で機動的なテナント入れ替えが進まず、また定期借家契約に切り替えるにはテナントの同意と巨額の差し入れ保証金の返還が必要で、資金力を欠くデベは手をこまねくしかなかった。一方、新世紀に入ってから開業した商業施設は当初から定期借家契約でテナントを導入したため機動的なテナント入れ替えやリニューアルが容易で、両者の業績に格差が開いて行くのもやむを得なかった。この傾向は駅ビルやファッションビルで顕著で、古くからのファッションビルや駅ビルと新規開業の駅ビルとの格差が開き、デベの勢力図式は一変して行った。

リーマンショックからアベクロミクスまでの都心再開発時代(08〜13)

 規制緩和の流れも07年11月の改正都市計画法施行で終止符が打たれる。70〜80年代のロードサイド店の氾濫に90〜00年代の郊外SC開発ラッシュが重なって地方都市の空洞化は限界に達し、無計画な広域化で道路や上下水道など公共インフラ負担が肥大して地方財政が破綻に瀕したため、‘コンパクトシティ’をテーゼとして徹底した開発立地規制が実施された。これにより、農地や工業地域、市街化調整区域など大半の用途地域で床面積一万平米超の商業施設開発が困難になり、駆け込み開発が一巡した09年以降、折からのリーマンショック不況も重なってSC開設数は急減した。
 郊外での開発が規制されたため開発は都心に転じ、11年のJR博多シティ(博多阪急+アミュプラザ)や大阪ノースゲートビル(JR大阪三越伊勢丹+ルクア)、ルミネ有楽町、12年の東京ソラマチや13年のグランフロント大阪など大規模開発が相次いだが、必ずしも期待した成果を挙げられないケースも見られた。また、大手デベの一部は拡大の望めない国内市場に見切りを付けて中国やアセアン諸国にSC開発の主力を転じた。
 13年以降、リーマンショックからの欧米経済の回復にアベクロミクスが重なって消費も上向きSC開発も回復しつつある中、SC業界を震撼させる歴史的流通革命の狼煙が上がり始めた。スタートトゥデイ社の「WEAR」導入を契機として表面化したオムニチャネル革命がそれであった。

オムニチャネル革命とSC変貌の流通革命時代(14〜)

 08年頃から急拡大しつつあったEコマースにスマホの普及が油を注いでモバイル消費が一気に広がり(今やアパレルEコマースではスマホ経由が過半に迫る)、SNSの爆発的氾濫とGPS誘導アプリの普及でウェブルーミングがショールーミングを凌駕する状況に至り、有力テナント企業の大半がEコマースやO2Oの枠を超えてオムニチャネル戦略に積極的に取り組むようになった。
 テナントチェーンや大手小売業が実店舗とEコマースの隔てなく『いつでもどこでも選んで買って受け取れる』オムニチャネルサービスに本気で取り組む一方、商業施設デベの多くは米国で定着した‘at Mall’アプリの導入にも遅れを取るばかりか、ショールーミングによる売上流失を恐れてテナントのオムニチャネル販売を妨害するなど、反動的ラッタイド行為に走って視野の狭さを露呈する有様だ。
 スマホが日常生活に定着した今日、オムニチャネル消費はもはや止め難い消費慣習となりつつあり、その妨害はSNSを遮断する行為に匹敵する暴挙と看做される。何処で選んで何処で決済し何処で受け取るかは消費者が決める事で、デベや小売店が規制する権利は一切無い。
 心配しなくても、オムニチャネル販売を実践するテナント企業では年々、ウェブルーミングが拡大して今春の最新調査ではショールーミングを上回るに至った。デベは知らないだけで、テナント企業の多くはSNSを駆使したプロモーションやGPSアプリでネットから店舗へ顧客を誘導しており、そのウェブルーミング売上はショールーミングによる売上流失をはるかに上回っている。
 そんな現実が理解されるに連れ、デベの姿勢も変わって来ると思うが、それを待っていてはSC丸ごと時流に置き去りにされてしまう。オムニチャネル消費は古典的なチェーンストア流通の常識を打ち破り、顧客直送のショールーム業態やデジタルストアを急増させると予見されるからだ。
 「アップルストア」に象徴されるように、ショールーム業態は在庫も売場面積もミニマムに抑えて巨額の売上を稼ぐ新世代のビジネスモデルであり(アップルストアの坪販売効率はルイ・ヴィトンに匹敵する)、デジタルストアは在庫も販売員も要せず通路の壁面をリースするのみで売上を稼ぐ。どちらも売上は生じても在庫と物流が伴わないかミニマムに抑えるビジネスモデルであり、顧客が購入した商品はEコマースのようにDCから自宅や近所のコンビニに直送するが、希望すれば持ち帰れる方式も可能だ。購入後に加工を要する眼鏡やパンツ/スーツ、持ち帰りが辛い家電や家具、飲料などは早晩、ショールーム販売が主流になると思われるし、それ以外のカテゴリーでも売場(家賃)や人件費、在庫や物流費を抑えて売上を稼ぎたいテナントは雪崩打ってショールーム業態の開発を急ぐに違いない。
 そんな近未来(遅くとも2〜3年先)にSCはどう対応したら良いのか、商業デベの経営陣は誰ひとり見えていないのではないか。

オムニチャネル時代のSCはこうなる

 ショールーム業態やデジタルストアなどオムニチャネル・リテイラーが流通の主役となる近未来、SCはどう変貌して行くのだろうか。
 まず、家賃や共益費、共同販促費など分散徴収型の課金体制から売上歩率賃料へ一本化しておかないと、売場面積と売上が乖離するオムニチャネル・リテイラーを捉え切れないし、好ましくはないがショールーミング売上に課金する事も難しい。決済を何処でするかは顧客が決める事でデベが強制する権利はないから、顧客カード割引やポイント上積みで店頭決済へ誘導すべきであろう。オムニチャネル販売ではEコマース商品の店頭受け取り、好ましくはないが店頭在庫からのEコマース受注品発送が広がるから、入荷ヤードの拡充に加えて出荷ヤードの新設や出荷代行サービスも必要になる。新たな設備投資が必要だが、課金による回収も容易だ。
 短期的な変化にはテクニカルに対応出来ても、長期的には想像を絶する変化が生じるかも知れない。それは流通に置けるSCの地位低下、立地と商圏の一変だ。
 小売売上に占めるEコマースのシェアはまだ4%台に乗ったばかりだが(米国は13年度で7.4%)、SCの主力分野たる衣料品・身の回り品に限れば通信販売シェアが12%を超え、ECまたはネット受注がその過半を占める。我が国のSC売上シェアは07年来、20%台で頭打ちになっているが、オムニチャネル消費が加速すれば流通における地位が劇的に低下するリスクが指摘される。
 オムニチャネル対応で売上が伸ばせるのは‘ラスト・ワンマイル’なコンビニエンスモールやNSCであり、中規模SCの中にはオムニチャネル戦略で商圏を全国化して化けるケースも期待されるが、多くの大型SCは売上の減少に直面すると思われる。ショールームストアや部分的にショールーム陳列を取り入れたストアが増えると大きな売場面積を要さなくなり、中規模なSCでも有力テナントのバラエティを広げる事が出来る反面、アクセスに難儀し広大なモールを歩き廻らなければならない巨大SCは客足が遠のくと考えられるからだ。巨大SCの多くは売上が低下して採算が取れなくなり、廃業するケースも出て来るだろう。
 オムニチャネル時代にはSCの優位が大から小へと逆転し、CVSやミニスーパー、均一価格店やバラエティストア、ショールームストアなど30坪から300坪までのコンビニエンス業態が生活立地に乱立する中、SCもネバフッドな三千坪級、コミュニティな一万坪級が主役になり、リージョナルSCは三万坪が上限となって巨大SCは行き詰まるリスクが指摘される。一方でカテゴリーに特化するなどして専門化し、立地/商圏/器の限界を超えて売上を驚異的に伸ばすオムニチャネルSCも台頭するという劇的な流通革命に発展する可能性が極めて高い。
 オムニチャネル革命という世紀の流通革命に直面し、テナントチェーンも商業施設デベも抜本的な変貌を強いられる。この革命を先取る者と出後れる者とで極端な明暗が開き、世代交代が急進する事はもはや避けられない。すべての経営者に戦略のリセットが求められているのだ。 スマホが日常生活に定着した今日、オムニチャネル消費はもはや止め難い消費慣習となりつつあり、その妨害はSNSを遮断する行為に匹敵する暴挙と看做される。何処で選んで何処で決済し何処で受け取るかは消費者が決める事で、デベや小売店が規制する権利は一切無い。
 心配しなくても、オムニチャネル販売を実践するテナント企業では年々、ウェブルーミングが拡大して今春の最新調査ではショールーミングを上回るに至った。デベは知らないだけで、テナント企業の多くはSNSを駆使したプロモーションやGPSアプリでネットから店舗へ顧客を誘導しており、そのウェブルーミング売上はショールーミングによる売上流失をはるかに上回っている。
 そんな現実が理解されるに連れ、デベの姿勢も変わって来ると思うが、それを待っていてはSC丸ごと時流に置き去りにされてしまう。オムニチャネル消費は古典的なチェーンストア流通の常識を打ち破り、顧客直送のショールーム業態やデジタルストアを急増させると予見されるからだ。
 「アップルストア」に象徴されるように、ショールーム業態は在庫も売場面積もミニマムに抑えて巨額の売上を稼ぐ新世代のビジネスモデルであり(アップルストアの坪販売効率はルイ・ヴィトンに匹敵する)、デジタルストアは在庫も販売員も要せず通路の壁面をリースするのみで売上を稼ぐ。どちらも売上は生じても在庫と物流が伴わないかミニマムに抑えるビジネスモデルであり、顧客が購入した商品はEコマースのようにDCから自宅や近所のコンビニに直送するが、希望すれば持ち帰れる方式も可能だ。購入後に加工を要する眼鏡やパンツ/スーツ、持ち帰りが辛い家電や家具、飲料などは早晩、ショールーム販売が主流になると思われるし、それ以外のカテゴリーでも売場(家賃)や人件費、在庫や物流費を抑えて売上を稼ぎたいテナントは雪崩打ってショールーム業態の開発を急ぐに違いない。
 そんな近未来(遅くとも2〜3年先)にSCはどう対応したら良いのか、商業デベの経営陣は誰ひとり見えていないのではないか。

hankaku1405

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