小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2017年12月28日付)
『このままでいいの?』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

 このギョーカイの近年の変化には戸惑い、そして遺憾に思う事が多い。それは経営がどんどん現場と顧客から離れ、資本とパーティに流れて行く事だ。
 「資本」とは四半期半期の見てくれの業績に固執して中長期の戦略を見失い、収益体質や財務体質を毀損する近視眼的経営、「パーティ」とは現場の実情から目を背け、心地よい取り巻きの声しか聞かなくなるお友達経営で、前者は「数字」の辻褄、後者は「イメージ」の格好良さで終わってしまい、現場の努力は報われなくなっていく。何処にでもある話ではあるが、自分の会社がそうなっては先行きが不安になり意欲も削がれてしまう。
 経営陣に不祥事でもあればクーデターの気運も高まるが、大きな失策も無くスマートに振る舞う限りは現体制が延々と続く。その間にも業績はジリジリと悪化し、外部には数字を繕っても内部には隠せないから社内には鬱々とした気分が蔓延し、流通価値のある人材は早々に見限って転職していく。次々と幹部が退職する事態となれば社内は浮き足立ち、これはという人材には声が掛かって“草狩り場”と化してしまう。そこまで行けば社内には自浄勢力もなくなり、業績の悪化も表面化してしまう。
 そこまで至らなくても、ガバナンスが崩れた状態では現場や顧客に目を向けた運営が出来るはずもなく、現場の不祥事や顧客の離反が水面下で広がって行く。そんな事態にならないよう、経営者は常に現場と顧客に目を向け、先々まで社員や取引先を裏切る事のないよう、長期的視点で収益構造と財務構造を構築し、ガバナンスの向上に務めねばならない。
 本部が官僚化し縦割り組織になり、現場は権限も無く一方的に結果だけ要求され、顧客は管理される羊を強いられては、ガバナンスは崩壊し顧客は離れて行く。ましてや経営陣が「資本」と「パーティ」に囚われ現場と顧客を顧みなくなればガバナンスの崩壊は加速度的に進む。そんな事にならないよう立ち位置を見直してみてはどうか。
 心地よく忖度してくれるお友達に囲まれカッコイイ事ばかり追っていて良いのだろうか、スマートに立ち回って現場が見えていないのでは、現場を支える地上の星を冷遇してはいないか、本部が現場を収奪してはいないか、顧客を欺き裏切ってはいないか、CMIのままでよいのか、ECが店舗を追い詰めてはいないか・・・・・・・それでは皆さま、よいお年をお迎えください。

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