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ブログ(アパログ2018年02月02日付)
『洋服を買う気力が失せていく』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 年老いたせいかギョーカイが悪いのか、洋服を買う気力が失せていくのが悲しい。シーズン毎のトレンドアイテムに挑戦するミーハー心は年相応の分別とともに消えて行き、シーンに対応するワードローブを季節毎に補完していくのが精一杯だ。なんでそうなったのか振り返ってみると、出費が医療・健康関連や住居・余暇関連などに流れた事もともかく、衣料・服飾品とその購入に魅力を感じなくなった事が一番大きいと思う。その理由は以下の三点に尽きよう。
1)自分の価値観や美意識、体型に応えるブランドが見つからない。デザインを追ったブランドは若向きなのか品質感やパターンの厚みを欠き、品質感やパターンを評価できるブランドはコンサバに過ぎる。法外価格を覚悟すればあるのかも知れないが、それでは人前に出られない(ベントレーで乗り付けて宝飾時計やトゥールビヨンを見せびらかすようなものだ)。あってもマイナーなのか販売店舗も品揃えもサイズ在庫も限られ、かなり妥協しないと買いようがない。そんな需給状況だから、バーゲン時にも適品・適サイズ品は瞬間蒸発してしまう(何故だか暖色系の小さいサイズばかり残っている)。
2)欧州ブランドは近年の円安などで法外に高騰してしまい、リーマン前の価格感覚では手が出なくなった。FOBプライスや社員割引率を知らないわけではないから、なおさら馬鹿らしくて手が出ない。セール価格(3〜4割引)でようやく往時の価格になるから、余程お気に入りでない限りセールでしか買わなくなった。とは言ってもプロパー段階でも滅多に買うものがないのだからセールで見つかる訳もないし、デパートのセールで延々とフィッティング待ちやレジ待ちに列ばされたり、セレクトショップのセールで一方的にランク分けされ差別されるのもまっぴらだ。
3)洋服の購入には試着やフィッティングなど体力と時間を労し、加えて販売員とのやり取りに神経を使う。ウエアリングトレンドに加えてパターンや素材の物性、縫製仕様に精通しないとフィッティングは難しく、販売員のスキルが低いと逃げ出したくなる(ロープレコンテストなんかよりフィッティングスキルを何とかして欲しい)。ましてやフィッティングなしのサイズデータだけでECで買うなど想像もつかない(既体験アイテムの色違いか同一品リピート、スゥエットアイテムしか買った事がない)。日常消費の大半をECに依存するようになっても洋服だけは手を出せないのはギョーカイ人?の端くれだからだろうか。
 それでも買えと言うなら、よっぽど暇で買い回れば買えるのかも知れないが、もはやそんな事に時間を使いたくはない。だからと言ってスタイリストさんにセレクトしてもらうほど(最近はそんなサービスが流行っている)自分の感性を他人任せにはできないし、スタイリストさんがフィッティングまで面倒を見てくれる訳でもない。今時はD2Cなパターンオーダーが流行りだが、既製服をカジュアル感覚で緩く崩して着る癖がついた躰は受け付けようとしない。
 周囲のお洒落にうるさい大人たち(50代以上の男女)は皆、似たような事を言っているから、私が余程の変わり者という訳でもなさそうだ。ファッションにお金を使える大人たちをぞんざいに扱ってきたギョーカイには失望させられるばかりだが、このままショボくれた爺いにはなりたくないから、何とか突破口を見つけて分相応なお洒落を楽しみたい。いっそ自分でブランド作ったろうかと幾度も思ってきたが(自分専用ブリーフはオリジナルで一生分作った)、周囲の苦労を見ていると腰が引けてしまう。さて、どうしたものだろうか。

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