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ブログ(アパログ2017年12月12日付)
『一斉バーゲンが帰って来る!』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 三越伊勢丹は年明けの冬物クリアランスを昨年から一週間早めて1月4日に開始する。バーゲン後倒しの盟友、ルミネも昨年の冬バーゲンは1月3日に開始しており、今年も同日の開始となる。他大手百貨店はそごう・西武が1日、大丸松坂屋と高島屋が2日に開始するから、12年の夏バーゲンから続いて来た混乱もようやく収拾される事になる。
 バーゲン時期の分散に振り回されて来た大手アパレル各社も三越伊勢丹の方針転換を歓迎しているようだ。値下げ時期が異なる商品を引き揚げたり戻したりの二重手間(現場は深夜残業を強いられる)やセール商品を寝かせて待つリスクから解放されるのだから当然と言えば当然だが、それを正面から言えなかった五年間は辛かったに違いない。どこのギョーカイも『黒い物も白い!』と言わされる“忖度”は変わりないようだ。
 後倒しを主張した方々は『正価販売期間の確保』『季節感とMDのズレを是正』という本音はともかく、『国内産地支援』とまで屁理屈を並べては『上から目線の思い込み』『現場を見ない空論』との批判を浴びても致し方あるまい。そんな主張も販売不振という現実の前に脆くも崩れ、結局は元に戻ってしまった。一部の館が力技で後倒しても、在庫を抱えたブランドはファミリーセールやシークレットセールを先行してしまうし、勢いに乗るECが先行セールを仕掛ける昨今は館だけが申し合わせてもセール時期の前倒しは止められない。結局は後倒しを仕掛けた三越伊勢丹とルミネの覇権の翳りを露呈しただけだったのではないか。
 バーゲンは時期を揃えて皆が競ってこそ、巷の気分も盛り上がり財布の紐も緩むというものだ。そのタイミングも景気や需給が決める必然であって理念や建前で誰かが決めるものでもあるまい。その意味では、ブラックフライデーとかサイバーマンデーとか、プロパー販売期もこれからという時期に覇権的な企業が大掛かりなセールを仕掛けるのも好ましくはない。期末クリアランス時期の早い遅いどころではなくプロパー販売ピークの入り口で値崩れを仕掛けられては正価販売期間など在って無きがごとくなってしまう。
 セール時期を後倒すも前倒すも特定大手企業の覇権に委ねるべきではあるまい。そのシーズンの需給の実情に即して自動筆記的(こっくりさん)に決まるべきものだと思うが如何だろうか。

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