小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年06月21日付)
『懲りないファッションシステム』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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  毎年、この時期に実施される繊研新聞の「ファッション専門学校来春卒業予定者に対する就職意識調査」の結果が今年も公表されたが、なるほどと納得する変化と??と思う変化が交錯して興味深かった。
 なるほどと納得したのは「ブランド評価」で、「よく買うブランド」では「古着」が前年の3位から首位に上がる一方で「ZARA」が1位から3位に転落。「よく買う店」でも「メルカリ」が前年の6位から1位に跳ね上がり「ゾゾタウン」が続く一方、「ルミネ」が1位から3位へ落ちた。得票数でも「古着」と「ネットショップ」が躍進して外資SPAや駅ビルが後退し、SCでも「&モール」を立ち上げてECとの連携を強める「ららぽーと」の急伸(11位→7位)が目を惹いた。
 ??と思われたのは「企業評価」で、業績の実態よりメディア映えする派手なアクションに引きずられた感を否めない。ファッション好きでも視野が狭く、乗せられ易いミーハーな若者気質が伺える。
 業界メディア自体が企業業績を正確に報道しておらず、企業側の一方的な発表を鵜呑みにして提灯を付け、業界ウケ若者ウケする話題ばかり持ち上げるのだから、いったいジャーナリストなのかプレスアタッシェなのか立ち位置が見えない。それが昔からの「ファッションシステム」なのだけど、SNS時代にいまさらという感がある。
 そんな「ファッションシステム」が映し出すバーチャルな世界を“現実”だと錯覚して入ってくる若者がギョーカイを支えているのだから、業界メディアから服飾専門学校まで陰謀の共犯を演じている事は否めない。ほんの一握りのラックネスの一方、多くの若者が若さを失うに連れ現実に目覚め、ギョーカイに見切りをつけて去っていくのは残念だ。あんまりリアルでも夢がないが、リアルな視野と使えるスキルを身につけないと潰しも効かない。夢だけ見せてギョーカイに送り込み潰してしまうのは可哀想ではないか。
 「マーチャンダイジング」にしても「開発〜生産」にしても「流通〜販売」にしても、夢話や成功潭ばかりでなく、きちんとした実務スキルを体系的に教育して送り出すべきだと思うが、服飾専門学校もショーバイだから学生や親を乗せ易いロジックに徹っするしかないのだろう。

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