小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年05月01日付)
『ゾゾスーツとPBが決定打になるの?』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 18年3月期は取扱総額が前期から27.6%増の2705億円、連結純利益が同18%増の201億円と突出し、衣料・服飾EC市場(1兆6454億円/経済産業省EC調査17年度)の16.4%も占めるスタートトゥデイだが、栄華の頂点での戦略判断には危ういものを感じる。
 伸縮センサー内蔵「ZOZOSUIT」は量産の挫折で43億2300万円の特別損失を計上したが、新たに自社開発した画像認識型の新「ZOZOSUIT」を今期中に600万〜1000万枚、無料配布して顧客のサイズを掌握しPBの拡販につなげるという。新「ZOZOSUIT」の配布には60億円〜100億円(一着原価1000円)を要するが、顧客のサイズを詳細に掴んだから囲い込めるとは限らない。それだけの投資に見合う効果は読めているのだろうか。
 決算と同時発表した中期経営計画では21年3月期の売上を3930億円、営業利益900億円、売上のうち2000億円をPB「ZOZO」が担い、取扱総額も7150億円を見込んでいる。
 7150億円という取扱総額は前期の2.64倍で、経済産業省調査17年衣料・服飾EC市場1兆6454億円の43.5%も占める法外な数字だ。衣料・服飾EC市場が毎年11%拡大すれば三年後の市場規模は2兆2500億円に増えるが、7150億円はその31.8%を占める。前期の占拠率16.4%の倍近く、ライバルECモールを悉く叩き潰さない限り、ありえない数字だ。三期で7150億円に届くには毎期38%強伸ばさねばならないが、過去5期間の平均伸び率が23.26%だからハードルが高い。
 アマゾンの米国EC市場に於けるシェアは40%を超えているし、その寡占規模で35%も売上を伸ばしているから不可能ではないが、実現にはアマゾン並みの“力技”が必要ということでもある。
 PB「ZOZO」を三年後に海外72カ国の800億円を含めて2000億円売るという壮大な構想も、どれほど実現性があるのだろうか。「ユニクロ」が国内EC売上を12年8月期の206億円から487億円まで伸ばすのに5年もかかったことを考えれば、ほとんど神業に思える。在庫リスクのない受託販売で急成長して来たプラットフォーマーが在庫リスクを伴うコンテンツビジネスに成長を託すというのも、百貨店が自主MDで火傷するみたいな危うさを否めない。
 東証一部上場で時価総額一兆円に迫る大手企業が公表した中期計画なのだから、よもや“ご冗談”ではないだろう。凡人には窺い知れない超絶戦略が用意されているに違いない。それは・・・・・

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