小島健輔の最新論文

ブログ(アパログ2018年04月26日付)
『経済産業省発表のEC統計に違和感!』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 経済産業省の17年EC統計(電子商取引に関する市場調査)が4月25日に発表されたが、『国内B2C物販EC売上は7.5%伸びてEC比率は5.79%になり、うち衣料・服飾雑貨は7.6%伸びてEC比率は11.54%になった』という結果は当社の集計とも消費生活の実感とも乖離が大きい。
 当社SPACメンバーの集計だと17年の衣料・服飾雑貨のEC売上は25.5%伸びてEC比率は13.1%に達しているし、月間ネット販売や繊研新聞の調査をベースに衣料・服飾EC売上1億円以上の141社(通販企業を含み重複するECモールを除く)の売上を合計しても14.5%伸びてEC比率は12.3%前後に達しているから、経済産業省の発表値とはかなり異なる。しかも141社の集計は16年6月〜17年5月に期末を迎えた決算の集計で「17年度」より半年前の実態を反映するから、業界の最新実態はSPACメンバーに近いのではないか。
 それでも衣料・服飾のEC比率が20%に迫る米国や50%に迫る英国に較べれば“黎明期”に過ぎず、女性就業率の急速な上昇に連れ(17年の我が国は69.4%と米国の67.9%を上回る)、購買に時間と労働を要する店舗販売からECへシフトしていくのは止められない。店舗で購入する消費慣習は「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」みたいな懐かしい過去になるのだろう(そのまた昔は棒手振りやご用聞きだった)。
 5年もすればキャッシュを受け取る店は皆無になり、衣料・服飾のEC比率も30%に達して店舗の大半はショールームになってしまうと確信する私には、経済産業省の17年EC統計はあまりに違和感があった・・・・

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