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ブログ(アパログ2018年02月19日付)
『アクティブスーツの衝撃』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 スポーツ用品メーカーがアクションスポーツ用機能素材を活用した「アクティブスーツ」を昨秋から次々に投入している。アディダスジャパンが伊勢丹とコラボした「アイコンスーツ」(昨秋)、ミズノの「ムーブスーツ」(今春)など、いずれも伸縮性やクリーニング要らずのイージーケア、吸汗速乾や防汚脱臭などが売物で、お手頃な価格設定もあって紳士服市場を一変させそうだ。
 メンズウエアは大きくフォーマル/ビジネス/ビジカジ/カジビジ/カジュアル/スポーツ&アウトドア/ルーミー&ワンマイルからなるが、「アクティブスーツ」は機能性のみならずノームコアなアスレジャー感覚まで取り込んでビジネス〜カジビジの分担をゼロから変えてしまうインパクトがある。ジャケットにワイシャツならぬトラックジャケットを合わせるなど、ビジカジにアスレジャーをクロスするトレンドが盛り上がろうとする中、「アクティブスーツ」はトレンド的にも追い風だ。
 米国東海岸では男性のビジネススタイルは組織内階級によってエグゼクティブの「スーツ」、中間管理職の「オフィサー」、現場労働者の「ワーカー」と区分され、エグゼクティブが高価で仕立ての良いスリムなスーツを着用するのに対し、セールスマンなど“スーツを着る労働者”は安価で仕立ての雑な緩いスーツを着るという社会慣習があった。気風の自由な米国西海岸はこの限りではないし、欧州や我が国では米国の「オフィサー」に近いジャケット×センタープレスパンツの「ビジカジ」やジャージジャケット/ブルゾン×キレイ目カジュアルパンツの「カジビジ」が広がってスーツ市場が縮小して来たが、「アクティブスーツ」はこの流れを一変させるかも知れない。
 ロードサイド紳士服店やツープライススーツ店に流れていた“スーツを着る労働者”層や「ビジカジ」なオフィサー層が「アクティブスーツ」に流れ、マーケットのシェア関係に異変が生ずるのではないか。それはゴム底のビジネススニーカーが革底のビジネスシューズを駆逐して来た近年の靴市場に匹敵する変化であり、カジュアル市場を一変させたノームコア革命がビジネススーツに波及すると見るべきだ。

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