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ブログ(アパログ2019年06月28日付)
『キモノをなめんじゃねーよ』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 お騒がせセレブのキム・カーダシアンが「KIMONO」と名付けて商標登録申請した下着ブランドを売り出して『日本文化の盗用だ』などと批判が広がっているが、なるほどヌーディーなボディコン補正下着の「KIMONO」は日本のキモノとはかけ離れて違和感がある。
 日本の「キモノ」は立体的な躰をシンプルに平面構成した素材で纏い、ボディラインを露呈することなく所作で色気を表現する装いであり、躰に密着せず纏うだけだから本来なら躰を締め付けず、限りなく裸に近いナチュラルな着心地が躰に優しい。戦後は補正材や帯板を入れてボディラインを隠し何本もの紐で締め付ける「現代キモノ」が主流となって躰に優しい着こなしや着崩しが楽しめなくなり(浴衣にはその楽しみが残っている)、日常に着る人が激減して晴れ着に限定されるようになったのは残念だ。作り手側のクリエイションやスタイリングを押し付けるという同じ轍をアパレル業界が踏まぬよう、祈るばかりだ。
 それに対して西洋のフェティシズム文明に発した「洋服」は平面的な素材を多数の面で立体構成して躰にフィットさせ、ボディラインを露呈して色気を表現する装いであり、作り手側が完成度を追求すれば使い手側の着こなしや着崩しは限定されてしまう。
 「キモノ」と洋服は対極的な装い文化であり、平面構成で使い手側が再構成できるリメイク型のブランドでない限り、安易に「KIMONO」を名乗るべきではあるまい。ましてやボディコンな補正下着ブランドが「KIMONO」を名乗る違和感は耐え難いものがある。安易な日本文化のタダ乗りという批判は当然だが、それ以前の「キモノ」文化に対する無理解に嫌悪を表明したい。

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