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ブログ(アパログ2019年03月04日付)
『忘れられた編集VMDスキル』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

ZARA4

 
 マーケティングやマーチャンダイジング、ロジスティクスなどは進化あるいは変化していくものだから最新の知見やスキルが将来も有効とは限らないが、ビジュアルマーチャンダイジングとりわけ売場の編集消化スキルは過去四半世紀いや半世紀近く退化するばかりで進化がなく、半永久的な有効性があると思う。
 退化するばかりになったのは、経営陣がPOSの数字ばかり見て売場を見ず編集スキルが顧みられなくなり、現場も編集スキルが本部に評価されず定着率の低さもあって引き継がれず、途絶えてしまったからだ。一部の個人が部分的に引き継いでいるケースはあるかもしれないが、組織的な運用は途絶えてしまったチェーンが大半なのではないか。
 途絶えてしまえば経営陣も振り返ることがなくなって余計にPOSにのめり込み、消化が悪いと半自動的に値引き処分して粗利を食い潰してしまう。だから年々、原価率が切り下げられてお値打ち感を損ない、それがまた消化を妨げて値引きが肥大し原価率が引き下げられるという泥沼に陥っている。
 文明や技術は進化していくものという幻想に囚われがちだが、現実には退化することもあるし、進化を競っているつもりが消耗戦を演じているだけかもしれない。少なくとも店頭の消化をドライブする編集VMDスキルは進化どころか退化の一途だし、忘れ去った企業も少なくない。
 それぞれの時代に内外の有力企業がサプライ体制と連携して確立した(残念ながら過去形が多い)編集消化VMDスキルを集大成してアップデートし続けてきた私としては、この技術体系が歴史に埋もれていくのはあまりに忍びない。4月12日に開催する『消化を促進してロスと在庫を圧縮するVMD技術革新ゼミ』では最新の事例も加えてビジュアルに解説するので、値引きと原価率切り下げの悪循環を断ち切ってロスと在庫を圧縮したい企業、編集VMDスキルを再構築したい企業は是非とも聴講してほしい。

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