小島健輔の最新論文

Facebook
『「本もの」か「怪しいもの」か 五感で嗅ぎ分けよう』(2021年01月13日付)
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

 裏付けのない情報が間接的に流布・増殖されていくネット伝言ゲームに誰もが騙される今日だが、一番確かなのは自分の五感(六感もある)で直接確かめることだ。ECやSNSが全盛でも、誤らない判断には自分で裏を取ることが不可欠だし、失敗しない買い物は店頭やショールームで五感で確かめるのが一番だ。
 逐一、物性検査など出来ないから、見て、持って、触って、さらには匂いを嗅いだり、音を聞き、ついには試着したり味見して自分の躰に聞く。
 衣料品や靴、鞄の場合、見た目の印象より持って見て重かったり、触ってみて粗野だったりしては「怪しい」。衣料品は着てみて軽やかで着心地がよく、身動きしても窮屈でなく崩れもしないのが良い。カシミヤ混のコートやセルビッチデニムのジーンズなど、着てみれば歴然と価値が分かる。
 食品は?と思ったら匂いを嗅ぐのが早いし、中身が見えない西瓜などは叩いてみると分かる。実はインテリア製品も「叩いて分かる」部類で、いかにも高級そうに見えても叩けば空洞になっている「フラッシュ(突板)構造」製品に騙されてはいけない。無垢に見えても木枠にベニヤ板を張って表面材やプリントシールを貼っただけという「怪しい」商品は叩けば実態が露呈する。モノにこだわるセレクトショップやブランドショップの内装家具も、ちょっとコンコンとやると突板構造だと知れることがあるが、そんなショップで売っている商品も「怪しい」のかもと疑ってしまう。
 五感と躰は使わないと錆びついて感度が落ちていく。何もかもネットで済ますのではなく、たまには野や街に出て五感を研ぎ澄ませてみませんか。

論文バックナンバーリスト