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ブログ(アパログ2019年02月05日付)
『ZOZOに必要なのはガバナンス』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 ZOZOSUITやPBの迷走にZOZOARIGATO強行による出店アパレルのZOZO離れも加わって業績予想の下方修正に追い込まれたZOZOだが、下方修正を発表したアナリスト向け説明会でも前澤氏は謝罪と軌道修正は口にしても戦略の抜本転換を打ち出すことはなかった。
 振り返って見れば、初代ZOZOSUITは採寸精度も量産技術も未確立なまま大枚を投資して挫折し、次代ZOZOSUITはばらまいた割に着用されなくて拡販に繋がらず、会員制常時値引き販売のZOZOARIGATOは出店アパレルの離反を招いただけで取扱高伸び率を加速するブースト効果は6%ほどに留まっている。いったいZOZOはどのような検証と手続きを経て投資や新規サービスを決定しているのだろうか。まさか前澤氏のツイッター感覚で思いつきを即行しているわけではないだろうが、これほどの見込み違いが繰り返されるとなると事前の検証や決定プロセスに問題があるとしか思えない。
 そう思ってZOZOの役員リストを一覧してみると、代表取締役の前澤氏以外に取締役が7名いるが全員、社内の各部門を執行する役員であって、会社の命運を左右する戦略的重要事項に賛否を下す立場ではないように見える。登記上は取締役でも実権は使用人役員と変わらず、執行役員を取締役に登記している嫌いがあるのかもしれない。社外取締役も独立役員(経営陣から独立した存在で一般株主と利益相反しない者。上場企業には最低一名必須)が一名いるのみで、前澤氏に諫言できるような大物は存在しない。
 ZOZOがここまで急成長したのは前澤氏の独創性とパワーがあったからだが、見込み違いが続いて業績の下方修正に追い込まれた以上、前澤氏を制御するガバナンスを整えることが急がれる。広範なステークホルダーの利害を担う東証一部上場企業としてはギャンブルを回避するガバナンスが必要で、前澤氏に睨みが効く業界(ITとリテール)の大物に社外取締役をお願いすべきではなかろうか。
 経営は文学でも芸術でもなく、ステークホルダーの至福を担う治世(ガバナンス)以外の何物でもない。成功体験に酔う者は“総合芸術”と錯覚する一瞬があるかもしれないが、その奢りは胸に収めなければならない。顧客や従業員はもちろん取引先や株主までステークホルダーの利害に目配りする徳ある為政者は、自らを律するガバナンスを疎んだりはしないはずだ。

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