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商業界オンライン 小島健輔からの直言
『ニッパチが怖い』 (2018年01月22日付)
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 アパレル業界はシーズン前半で得た利益を後半で吐き出してしまうといわれ、期末に在庫を残さないようセールの前倒しが止まらなくなっているが、在庫消化に気を取られているとニッパチの関門に引っかかってしまう。

「ニッパチの関門」とはシーズンの端境で売上水位が下がる2月と8月にテナント店舗が最低保障売上げを割り込んで予期せぬ家賃を払う羽目になることで、低い売上げから予想外の家賃を差し引かれてキャッシュフローの目算が狂い、冷や汗をかくケースが少なくない。

 テナント店舗の家賃は「定額制」は稀で「最低保証付歩合」が主流だが、この「最低保証」というやつが曲者で、出店交渉時に歩率にこだわって高めの最低保証を飲んでしまうと、売上げの高い月はともかく水位が下がるニッパチで青ざめることになる。デベの家賃徴収は月の前半分の売上げから固定的な費用を差し引き、後半分の売上げから歩合する費用を差し引いてテナントに振り込むのが一般的だが、売上げの絶対額も差し引かれる費用も後半の方が断然大きく、目算が狂うと青くなってしまうのだ。

 在庫消化に必死になって値引販売にのめり込むと荒利益が細るのに加え、前シーズン在庫が期待通りに消化すれば(しないでも困るが)セール玉が枯渇し、次シーズンの在庫を投入してもすぐには売上げには結び付かず(投入と実売のピークは4〜8週もズレる)、ニッパチの売上水位はどうしても下がってしまう。これを回避すべくニッパチにさまざまなキャンペーンを仕掛けるのがジョーシキで、顧客向けの新商品キックオフ(立ち上げから2W以降の初期〜ピーク直前に仕掛ける期間限定値引)に加え、バレンタインデーには洋服屋も便乗するしかない。チョコに替わるギフト訴求もよいが、チョコを売ってもおかしくないし、人気チョコをプレミアムに新商品をキックオフしてもよいのでは……ニッパチは形振り構わず売上げを作った者が勝ちなのだ。

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