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ブログ(アパログ2018年07月12日付)
『19SSのテキスタイルがヤバイ!』
小島健輔 (株)小島ファッションマーケティング代表取締役

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 外資アパレルチェーンの低迷が深まる等、日本市場のローカル化とナチュラル回帰が急進しているが、19SSへ向けてのテキスタイル業界の対応にはヤバイものがある。
 このほど完成した当社の「19年春夏MDディレクション」では、ローカル多様化する国内マーケットの動向を客層別に検証して19SSの季節別MD展開をレディス8テーマ、メンズ6テーマにまとめたが、春⇒初夏⇒盛夏⇒晩夏と展開するレディスの「盛夏」「晩夏」、春⇒初夏⇒晩夏と展開するメンズの「晩夏」に対応するテキスタイルの手当には苦労した。
 有力テキスタイルコンバーターも大手商社も合繊系機能素材に注力するあまり、ラスティックあるいはヴィンテージなナチュラル素材の開発が後手に回り、当社のMDテーマに使える素材が限られたからだ。やむなく綿麻やデニムに強い産地系コンバーターを当たったりリユース衣料を探したりして素材ボードを完成させたが、実際の商品企画となればロットと価格の見合いもあるから需給ギャップは避けられないだろう。
 テキスタイル業界も遅ればせながら綿麻素材あるいは綿麻風合いの合繊混素材の供給を急いでいるが、需給が逼迫して麻糸の価格が高騰し、西日本豪雨による三備地区の被害でデニムなどワーク素材の供給にも支障が出る恐れがある。ローカルな多様化とナチュラル回帰でデニムなどワークカジュアルの久方振りの本格回復が期待される19SSへ、素材供給が足を引っ張らなければよいが・・・・

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